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整えていった。
平成4年2月1日、全国から5,000人余りの観客が集って、「熊本の『動』と『静』を観る」は、NHKの全国放送とともに上演され、再び波野村の中江神楽の時と同様の感動を盛り上げた。
この感動を起爆剤として、神楽の常時上演の気運が持ち上り、平成8年10月25日に長野神社に隣接する土地に、神楽殿が完成し、ここに新たな村おこしの強力な據点が出来上った。
熊本県立劇場は波野村の場合と同じ様に、設計段階から神楽殿の設立に参画し、ホールとしての機能に適切なアドヴァイスを提供した。
現在、神楽殿では温泉旅館と提携して上演し、定期公演も行い、村の振興に大きく貢献している。

 

(3)熊本県上益城郡清和村「文楽人形浄瑠璃芝居」復元上演

戦前熊本県には20あまりの人形浄瑠璃の座があったと伝えられているが、いずれもセミプロ化して、かえって衰亡してしまった。
清和村人形芝居だけは、農閑期の楽しみとして村内で演じられてきたために、辛うじて維持されていたが、昭和63年8月からの熊本県立劇場の全県下市町村巡歴が清和村を訪れた時には、僅かに1曲が雑音だらけのテープの義太夫を頼りに演じられていただけで、滅亡寸前であった。もしもこの劇場との出会いがなかったならば、清和人形芝居は数年をまたずして完全に消滅していたと言われる。
劇場は保存会の回復への情熱に賛同し、まず大阪の文楽協会に交渉して、太夫に熊本県立劇場に来てもらって義太夫を語らせ、その録音テープを村に寄贈することから復元を計る約束をした。
ところが、1年間の熱意ある交渉にもかかわらず、すでに文楽協会そのものに、熊本まで出向いて収録に応ずるだけの人的時間的余裕が全くない事実が明確になった。
一時は復元を断念しかけたが、レコード会社に昔の盤でもよいから、保存してある義太夫のレコードがあったら譲渡またはテープ収録を交渉し、いずれの会社も廃盤になっていることが判明する期間のうちに、NHKが保存していないだろうかという情報を入手した。
早速館長は東京へ飛んで調査したところ、1巻1時間程のテープ10巻が保存されているのを確認した。
そこでNHKとの直接交渉に入り、大阪放送局が仲立ちとなって、テープに出演し

 

 

 

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